永遠の胸
伝えたい。僕が覚えた全てを。
限りなく幸せを求めてきた全てを。
分け合いたい。生きてゆくその全てを。
心に宿るもののその姿を。ありのままの僕の姿を信じてほしい。受け止めてほしい。
それが生きてゆくための愛なら、心こめて。
僕はいつでもここにいるから。
涙あふれて何も見えなくても。
僕はいつでもここにいるから。

尾崎がこのアルバムを作る時、「誕生」とどっちをタイトルにするか最後の最後まで悩んだと言う歌。

ディスクTのメインとなる曲は間違いなくこの永遠の胸だろう。

「僕が僕であるために」の発展型。「シェリー」との掛け合いの歌。

尾崎がこれまでに作った曲と比べて、20代の尾崎を象徴するために作ったような感がある。

この時点での、尾崎が覚えてきた全てを伝えるメッセージとなっているはずの歌。

だが、歌詞は異常と言えるほど長く、尾崎本人もライブなどで間違えずに歌った事はないと言う。

この頃の尾崎を象徴する難解な詩。言い回し。尾崎特有の精神的な苦痛を共有した人間にしか理解できない。

そんな、十代の頃の、世の中の十代の全てを代表してきたような人間としてではなく

本当に生身で考えて、感じて、吐き出したい言葉が連なっている。

また誕生を発表するテレビCMでも、バックミュージックとして使用されていたのは

この歌のサビの部分だったらしい事から、中身としては尾崎はこちらの方が重要だと考えていたのかも。

昔のような激しさもない。心に直接響いて共感を呼ぶようなフレーズもない。

ただ、ただ尾崎豊と言う人物の生き様を見て、ホロリと涙をこぼすような歌だ。

尾崎の決意や後悔や、汚すぎる社会で傷つき学んだ事、全ての答え。真実。

尾崎豊と言う本物の心が見えるのは、もしかするとこの歌の中かもしれないのだ。

曲としては少し異例。

サビの部分が長く、延々と高く苦しそうな尾崎の高音が続く。

淡々と語る尾崎の人生。

荒々しく、傷つきながらも必死で叫び訴え続ける尾崎の感じた真実。

そして、尾崎豊が見つけた答えを、やさしく諭す。

泣くなという方が無理。

歌う時は、尾崎になりきる。