黄昏ゆく街で
枯れた噴水の淵に僕らは腰掛けて、夢見るわけでもなくただ無口になっている。
誰かが奏でる、題名のない音楽に耳を傾けていると君を見失いそうさ。
肩を抱き寄せてみるけど、遠くに感じる。
見つめていて、僕だけのこと・・・。
ニューヨークでの新婚旅行を歌った歌。
だが、その内容はどちらかと言うと失敗した恋人同士の最後の夜のようだ。
哀愁の漂うメロディと今にも壊れてしまいそうな程不安定な二人の距離。
詩も後ろ向きで、ただ痛んだ過去を振り向いているだけのように感じる。
ぼやけた現実の中で、一緒にいる事すらもよくわからない。
最愛の人を傍に置いていても、ただ自分だけを見つめていてほしい。
不安に押しつぶされそうにベッドの中で眠る愛しい人に、そっと口付けをすると、君はこういった。
「ねぇ、これでいいの・・・?」
歌う時は、ゆったりと疲れたように。