COOKIE
好き嫌いなく食べろと言われ育った。
大人の言う事を信じろと言われ育った。
答えが在るならば出さなければならなかったし
嘘をつくなと言われて育てられた。
僕達の親が作った経済大国。
だけど、文明はどこかで一人歩きしている。
尾崎はこのアルバムを作るとき、40曲ほど作り溜めてテープに吹き込んだ中から
20曲を選んで「誕生」を完成させた。
それまでとは違う、本当に自分がやりたかった事をやる尾崎の心境が爆発したのだろう。
この曲は、尾崎が十代の間に作った。その際「環境問題を歌った曲だ」と陽気に語っていたそうだが
遂にここまで発表される事はなく、お蔵入りしていた。
明るく陽気に現代社会を皮肉った歌。
「Hey,おいらの愛しい人よ。おいらの為にクッキーを焼いてくれ」と言う歌いだしはなんだかのほほんとする。
なんとも言葉に表しにくい感情が流れ込んでくる歌。
だが、所々他の「誕生」収録曲とは違う何かがある。一人称が「おいら」なのもかなり初期の尾崎の特徴。
海王が「誕生」を聞いて、一番初めに好きになった曲でもある。
ここに来て思ったのが、尾崎の曲は若い頃の歌は吸い込まれるような印象がある。
パワーがある、インパクトがある、いい曲だ。と言ってもいいかもしれない。
逆に、尾崎が後期に近づくにつれて、その内容は若者の代弁者ではなく
尾崎豊個人としての生き様を歌うようになり、聞き手が感情移入しにくいのも確か。
逆に後期は「聞けば聞くほど好きになる」のが特徴。
この「誕生」も、恐らく一回聞いただけで「だめだこりゃ」と捨ててしまうのは本当に簡単なくらい
最初のイメージが悪い。諦めずに何度も聞かないと、よくわからない。
のに、このCOOKIEは異色。
歌う時は訴えるように。